百薬の長に『有明抄(240705佐賀新聞)』は思う◆作家陳舜臣さんが『弥縫録』に、酒好きが「百薬の長」を語ると、妙に弁解じみてくるという◆近年は医学的にも、少量でもがんなど病気の危険は高まるのだとか◆病気より深刻なのが二日酔いによる遅刻や働きぶりの低下で、社会の損失は年間2兆5千億円に上るとの推計もある。とはいえ、酒は憂いをはき出す箒ともいう。医療や経済だけで測れない効用もある◆では二日酔いをどう解消するか。文豪井伏鱒二は、ぬるい風呂を好んだ。少しずつ熱くしていけば、さっぱりして酔いがさめる、と。「先生、それからどうなさるんですか?」「決まっているじゃないか。また飲み始めるんですよ」 (私は)…