予定のない午後八時が怖い。 たまにあるんです。夕食を食べ終え、ふっと一人これから何をすればよいかわからなくなってしまう時が。寝るには早い、かといって思いつく予定もないので一瞬思考が停止します。そしてシーンとあたりが静まり返って、グオーッと自分だけしかいないことに気づく。思考がそこまで進んでしまうと、もう現実逃避するにはいられないのです。私はあわててスマホに手を伸ばし、元気をくれそうなあの人の顔を思い浮かべながら、画面の真ん中にいるYou Tubeのマークをぎゅっと押す。こうやって、時間を忘れようとする。 以前読んだ穂村弘さんのエッセイ「もうおうちへ帰りましょう」(曇天の午後四時からの脱出)がと…