冷たい雨が窓を叩く夜、彩花は部屋の片隅で小さな手帳を開いていた。そこに書かれているのは、日々に押し流される自分を変えたいという願い。しかし、周囲の声や感情に振り回される彩花は、いつも手帳の中の言葉だけに留まってしまう。 自分の思いとは裏腹に、友人の前に出ると友人の顔色を窺ってしまい、強い風に押し流されていた。そして、そうしなければ自分は一人で立っていられないと深く信じ込んでいた。 ある日、彼女は不思議な老人と出会う。その老人は、彼女に「自分の外に出て、空から自分を見つめる方法」を教えると言った。その瞬間から彩花は奇妙な能力に目覚める。それは身体から意識を切り離し、俯瞰的に自分を見る力だった。 …