立ち濡《ぬ》るる 人しもあらじ 東屋に うたてもかかる 雨そそぎかな 催馬楽「東屋」を歌いながら近づく源氏を招く源典侍(げんのないしのすけ)の歌🌹 〜濡れて雨宿りに来る人もいない粗末な東屋に、 嫌な雨が降りそそぎます。 【第7帖 紅葉賀】 清涼殿の音楽の御遊びの時、 ほかは皆男の殿上役人の中へも加えられて 琵琶の役をするほどの名手であったから、 それが恋に悩みながら弾く絃《いと》の音《ね》には 源氏の心を打つものがあった。 「瓜《うり》作りになりやしなまし」という歌を、 美声ではなやかに歌っているのには少し反感が起こった。 白楽天が聞いたという鄂州《がくしゅう》の女の琵琶も こうした妙味があっ…