今回は「イケてない」もしくは「行けなかった」男たちの歌、第三弾。 もしかしたら、これ、シリーズになるかもしれない。 沙弥満誓歌一首 世間乎 何物尓将譬 旦開 榜去師船之 跡無如 (351) 世の中を 何に譬(たと)へむ 朝開き 漕ぎ去にし船の跡なきごとし よのなかを なににたとへむ あさびらき こぎにしふねの あとなきごとし 【普通の解釈】 人の世を何にたとえようか。朝に漕ぎ去っていった船の、波の跡が残っていないようなものだ、とでも言っておこうか。ああむなしい。 旅のイメージはあるが、直接、旅を歌ったものではない。 何らかの理由があって、「世の中」を「漕ぎ去にし船の跡なき」に喩えている。 作者…