1)第9段 要旨 前段で、久米仙人の「通(神通力=脱俗性)」を奪い、久米仙人をただの凡俗に貶めた、「色欲」中の「性欲」の恐ろしさを兼好はあらためて述べ、諸賢の注意喚起を促します。 中で、兼好が観察している「睡眠不足もお構いなしに、色恋に熱を上げる女」のしどけなさは、第3段で描かれた、夜露に打たれながら、やはり寝不足がちに夜を彷徨う「色好み」の男を思い出させます。 実はこの描写は『源氏物語』「空蝉」の中にある「恋に溺れた女」の描写とほぼ同じだと、安良岡先生が脚注で指摘されています。 てことは、兼好さんにとっての「色好み」の男女の姿は、ある意味ステレオタイプであり、兼好さんがホントにそういう風俗目…