佐多稲子の作品は初めて読んだ。 『素足の娘』『灰色の午後』の2作品が収められている。 読後感は、体温が伝わってくる、だ。もっと言えば、隠蔽されたヰタ・セクスアリスのような感じだ。 年代的に性の話は率直にしないものだというのが染みついている。以前住んでいた所では若い奥さん仲間が無邪気に話題にするのでビックリポンであった。学生時代の友人ともあまりそんな話はしていない私。人妻ってすごい! と思った。 でも、まるでそれが存在しないかのように日常を送るのも変な気がする。「秘め事」めくのもかえっていやらしい。性の表現には品性が表れる。 佐多稲子の作品から、私は性の匂いを感じる。体臭が伝わってくる。そこに、…