【平家物語100 第4巻 橋合戦①】 しばらく進むうちに、 高倉宮は宇治橋に来るまで六度も落馬した。 側近が昨夜お寝みにならぬお疲れのためであろうと、 平等院《びょうどういん》にお入れして休息させた。 敵襲をおもんばかって、宇治橋の橋板三間を引きはがし、 宮と共に兵もここで一息入れていた。 一方、宮奈良へ落ち給う、 という情報を掴んだ六波羅では、 ただちに追って討ちとれと、 大将軍に左兵衛督知盛《さひょうえのかみとももり》、 頭中将重衡《とうのちゅうじょうしげひら》、 薩摩守忠度《さつまのかみただのり》、 侍大将に上総守忠清《かずさのかみただきよ》、 飛騨守景家《ひだのかみかげいえ》を始めとし…