行き過ぎた精神主義が齎す害を、日本人はきっと誰より知っている。 八十年前、骨身に滲みて味わい尽くしているからだ。「痛くなければ覚えない」。苦痛とセットになったとき、記憶は最も深刻に、脳細胞に刻印される。あの戦敗は、計り知れぬ痛みであった。 (Wikipediaより、サンフランシスコ平和条約) 「一人十殺」「一億総玉砕」「月月火水木金金」――。意気ばかり盛んで少しも実の伴わぬ、内容空疎なスローガンを横目に一瞥するだけで、誰もが嫌悪に顔を歪めて吐き気を催すことだろう。 が、しかし。だからといって、およそ精神教育をまるきり欠いた組織というのも、それはそれで役に立たない、仏作って魂入れずな三流品である…