映画「おくりびと」で観たことがあったが、亡くなった人のお化粧は、生きている人よりも大切な気がする。 化粧を施してもらった父は、黄疸や抗がん剤治療の際にできたしみがわからないくらいきれいな顔になった。 父に触れる最後の機会だ。私たち家族は、父の腕や足をきれいに拭いてあげた。母が「かたくなったね」と、亡くなった直前はまだ生きているようにやわらかく、あたたかかった手を触って言った。 父に触れると、やはり涙がとまらなかった。 納棺式。父を棺に入れる。すっかりやせ細ってしまった身体だが、運ぶ際には、父の重さをずっしりと感じた。 納棺式後、父が整理しきれなかった大量の写真が書斎にあった。本人はこの大量の写…