1.紛争管理論について 環境問題や消費者問題など多数の被害者が被害を受けている場合に、個々の被害者 が裁判を提起することは、非常に大変なことです。 先に、他の方が同様の訴訟をしているのであれば、裁判を一本化して専門の団体を 紛争管理権者として訴訟を委ねたほうが、訴訟経済的にも被害者本人のためにもなり ます。 この考え方は伊藤眞教授が提唱された「紛争管理論」といいます。 判例(最判昭和60年12月20日 豊前火力発電所建設差止訴訟)においては、 原告7名が地域住民の代表として操業停止等を訴えましたが、紛争管理論は、法律の 規定ないし当事者の授権なくして第三者が訴訟追行する根拠に乏しく、採用できな…