オタール・イオセリアーニ(Otar Iosseliani)監督による1999年作『素敵な歌と舟はゆく(Adieu, plancher des vaches !)』について。 さらば、荒野よ 『蝶採り』と同じく、異文化、異なる階級間での関係と断絶についての映画となっているように感じる。豪邸とその近くの街の二つが舞台となっており、体制、監視者であり規律、排除する存在として街には警察が、豪邸には主人公の母親が存在している。 主人公は豪邸の息子で、家では上流階級的な身だしなみ、振る舞いを母親から強制されているが、街では貧困層を演じ、ホームレスや犯罪者とのネットワークを築いている。それと対置されるのが労…