この議論の基盤にややSF的な発想がある。 かつては惑星への移住や宇宙コロニーの建設、あるいは太陽系外への人類の進出などがリアルなテーマであった。地球に人類が足止めされる限り、人口は飽和しつつ資源を使い尽くし、じり貧になるというマルサス的な思考が自然だったのだ。 その例が先年物故した物理学者ダイソンだ。ダイソンは人類と科学の無際限な発展を晩年まで信じていた。 その制約は物理学の既知の法則にあるとしていいだろう。 いいかえると既知の物理法則は人類に利用可能なエネルギーやその変換効率、移動速度など時空の制服可能な上限を決めている。自然界の観測可能性(範囲と精度)や操作可能性もその上限を規定しているだ…