山本譲司著『累犯障害者』新潮文庫 ここにはいわゆるタブーがある。 ゆえに、必読なのである。 本作は触法障害者の実態に迫ったノンフィクション。 繰りかえし犯罪をおこす身体障害者、および知的障害者についての取材と考察である。 著者は元衆議院議員、山本譲司。 かつて政策秘書給与の流用事件で有罪判決を受け、獄中の身となった。 その塀の中で、彼の心をゆさぶったのが障害を持つ囚人たちの存在なのである。 自力ではトイレすらこなせない者もいる。 収監された理由すら理解できない者もいる。 はたまたそこが獄中であることすら認識できない囚人までいたという。 障害の種類や程度も関係なく、彼らは十把一絡げに法廷へと送り…