終夜眠らずに語って、そして二人で詩も作った。 政府の威厳を無視したとはいうものの、 宰相も事は好まないふうで、 翌朝はもう別れて行く人になった。 好意がかえってあとの物思いを作らせると言ってもよい。 杯を手にしながら 「酔悲泪灑春杯裏 《ゑひのかなしみのなみだをそそぐはるのさかづきのうち》」 と二人がいっしょに歌った。 供をして来ている者も皆涙を流していた。 双方の家司たちの間に惜しまれる別れもあるのである。 酔悲泪灑春杯裏《ゑひのかなしみのなみだをそそぐはるのさかづきのうち》についてのサイトです🪷 【源氏物語 第十二帖 須磨(すま)】 朧月夜との仲が発覚し、追いつめられた光源氏は 後見する東…