線形論理のコンパクト性定理をテーマに書いたものが『新進研究者 Research Notes 第8号』に載りましたよ。↓からご覧いただけます。 pssj.info 文中で「本論文では〜」と書いてしまっているけど、『新進研究者 Research Notes』に載ったものって「論文」と言っていいのだろうか? 研究ノート? Researchmapの業績欄でも、論文としてカウントする人もいればMISCにする人もいると思う。とりあえず私は「論文」てことにしときます。
イギリスのシェフィールドに滞在しています。 2週間の予定で、いま1週目が終わったところ。1週目はMidlands Graduate Schoolin the Foundations of Computing Science 2025というのに参加していた。 www.andreipopescu.uk いろいろなトピックの講義を受けたが、いちばんのお目当てはもちろん線形論理であった。Abhishek DeさんとCharles Grelloisさんが線形論理の講義を担当した。演習のセッションも充実。講義ノートは以下で見られる。 sites.google.com 私は線形論理研究者の卵だが、ずっと我流…
続きといえば↓これの続き。 cut-elimination.hatenablog.com 豊岡さんが型なし証明論と並べてもうひとつ挙げていた論文がAndreoli "Logic Programming with Focusing Proofs in Linear Logic"という論文。線形論理の世界では超有名な論文だが初めてちゃんと読んだ。 これはタイトルのとおり線形論理を論理プログラミングに応用することを狙ったもので哲学論文ではない*1。なのだけれども、ここで導入された焦点化(focusing)の概念は証明の分析として斬新なもので、証明論的意味論への応用も期待できる。 線形論理には乗法的演…
前に「型なし証明論」について紹介したので、勢いでもう一つ線形論理を使った哲学の論文を読んで紹介しまっせ。 cut-elimination.hatenablog.com Paolo Pistone "Rule-Following and the Limits of Formalization: Wittgenstein’s Considerations Through the Lens of Logic"という論文(私が読んだのはもしかしたらプレプリントかもしれない)。 link.springer.com 著者はイタリア出身でいまはフランスにいるらしい。テクニカルな研究をしているが哲学にも精通し…
先日、一橋大学で↓こういうイベントがあった。 sites.google.com 講演者の豊岡正庸さんは私の直の先輩にあたる。たいへん優秀な方で、分析哲学・哲学的論理学の世界では注目の存在である。 豊岡さんの講演のなかで線形論理やジラール先生に触れた箇所があり、それに関連する文献は私が少しお教えした。そうしたら豊岡さんは謝辞で私の名前を挙げてくだすった。それに対する私の気持ちが↓こちら。 きのう豊岡さんに謝辞で名前を挙げていただいて、売れてない芸人が売れてる先輩にテレビで名前を出してもらったときの気持ちがわかりました…… — 鈴木盲点潤(線形論理) (@cut_elimination) 2025…
日本科学哲学会大会で線形論理についての研究を発表してきましたよ。いろいろとコメントいただけてありがたい。 全2日で2日目の発表だった。1日目は発表のことで頭がいっぱいになり(なんか発表内容におかしなところがあるんじゃないかと気付いてしまい)、2日目は朝のトップで発表した後はいただいたコメントを受けて考え込んでしまった。他の方の発表を聴いて吸収したかったが、聴いた内容があまり入ってこなかったのが反省点。それでも戸田山和久先生の発表が、話術が巧みでおもしろく、印象深い。 名前だけ知っていた人たちとお知り合いになれてありがたかった。良い人ばかり。それとやはり当ブログはそこそこ読まれている! 日本で(…
最近OCamlという言語でプログラミングの勉強をしている。↓の素晴らしい本を読んでいる。 *1" title="プログラミングの基礎 *2" /> プログラミングの基礎 *3 作者:浅井 健一 サイエンス社 Amazon 日本はOCamlほかML系言語の研究者がけっこういて、本やネット上の解説が充実している。助かる。MLというのはMeta Languageの略で、大計算機科学者のロビン・ミルナーの研究に端を発する言語である。OCamlもこの流れに位置する。 MLは多相型システムというのを持っている。これはジラール先生が開発したシステムFという論理体系とカリー=ハワード的な対応を持っている、とご…
Mathematical Logic Advent Calendar 2023 10日目の記事として線形論理の簡単な紹介を書きました! 論理学の知識がない人でも読めます。線形型システムの話もちょっと書いてますのでプログラマの方にもオススメです! drive.google.com
古典命題論理は決定可能である。すなわち、与えられた命題(あるいはシークエント)が任意のモデルで真どうか、もしくは証明可能かどうかを判定するアルゴリズムが存在する。わが研究室ではこれを↓の小野寛晰先生の解説論文で勉強するのが伝統らしいので読んだ。 projecteuclid.org シークエント計算を使った、ゲンツェンによる伝統的な手法らしい。 対して古典述語論理は決定不能である。これはチャーチやチューリングが証明した。決定可能性はアルゴリズムを与えれば証明できるが決定不能性の証明はもうちょっと難しい。小野先生の論文でも証明は与えられていない。しかしゲンツェンの手法だとどこで行き詰まるかは書いて…
やりました。 drive.google.com のところがもう少し上手く書けないものかという感じがあるけれどまあまあまあ(追記:直してみました)。 (追記)いろいろ間違いや不備が見つかっているのであまり信じないように。 The Blind Spot: Lectures on Logic 作者:Girard, Jean-Yves Amer Mathematical Society Amazon Le Fantôme de la Transparence Amazon