戦後唯一、未解決のまま公訴時効を迎えた身代金目的の幼児誘拐殺人事件。 営利誘拐は「最もリスクに見合わない犯罪」と呼ばれ、97%超の高い検挙率を誇るが、なぜ犯人までたどりつくことができなかったのか。 すべり台 1987年(昭和62年)9月14日(月)の夕方、群馬県高崎市筑縄(つくなわ)町の消防士荻原光則さん(43歳)方の長男功明(よしあき)ちゃん(5歳)が自宅から遊びに出た直後に行方が分からなくなった。 功明ちゃんは近くの私立むつみ幼稚園に通っており、その日は非番だった父光則さんが午後2時半頃に自転車でお迎えに行った。夕方4時50分頃になって功明ちゃんは「すべり台に行く」と言い、自宅の目の前の遊…