羽生飛鳥氏の揺籃の都を読んだ。これは蝶として死す - 隠居日録の第二作目で、今回の時間軸は治承4(11890)年の福原遷都の直後に巻き戻る。平頼盛は平清盛からある人探しを命じられた。それは源雅頼に仕える青侍で、この青侍が不吉な夢の噂を広めていることに関係している。その不吉な夢とは平家が信仰する厳島大明神が神々の議定から追放され、平家が預かっている節刀を源氏の氏神の八幡大菩薩が受け取り、藤原氏の氏神の春日大明神が欲しがっていたという内容だ。清盛曰く「これは厳島大明神が授けた銀の蛭巻の小長刀が失われて、厳島大明神の加護が消え、一門が凋落するとのお告げのようだ」。その青侍を捕縛しようとしたのだが、逃…