痔疾患のうち最も頻繁に経験する型は、いぼ痔(痔核)です。いぼ痔には肛門外に触れる型(外痔核)と、肛門内に指を入れて触れる型(内痔核)の2種類があります。いずれも静脈系のうっ血(瘀血)によりいぼ(硬結)を形成し、出血や痛みの原因となります。 本症の第一選択薬は乙字湯です。乙字湯は6種の生薬から構成され、痛みやうっ血をとり炎症を抑え、痔核を消退させる(升提)作用があります(図)。切れ痔、いぼ痔や脱肛等と幅広い適応があります。本剤は比較的体力があり軽中症型で、便秘傾向のある方に用います。本型には乙字湯以外に、桂枝茯苓丸、桃核承気湯や大黄牡丹皮湯が考慮されます。いずれもうっ血のあるいぼ痔例に応用されま…