「姫ー、ひめー」 王子の呼び声が、遠くさざなみのように聞こえる。そうか、ここはわたしの初見だった、海岸、と言う場所なんだろう。きっと、んーん、絶対に、王子と一緒にデートに来てるんだ。そこで、あんな呼んじゃって。無邪気だなあ、王子。わたしだけのおーじ。うふふ、ぐふふ。 「ひめ……?」 「んもー、この照れ屋さんっ! むふふ」 「寝言だけならともかく、ニマニマ笑われると。さすがに心配なんだけど」 「えー、寝たいのー。おーじの大胆! きゃー」 「あー。どうしよこの状況」 「いいのよー、どうしようなんて考えなくっても。わたしがやさしーくリードして」 「だあああ! ストップ!!」 王子がゆさゆさと、わたし…