介護士として働く中で、日々様々な感情と向き合います。それは、入居者の方々だけでなく、ご家族や同僚、そして自分自身のものも含めてです。 特に印象に残っているのは、ある入居者の方とご家族とのエピソードです。 その方は、認知症が進み、ほとんど会話ができない状態でした。しかし、ご家族が訪れると、顔にパッと笑顔が浮かび、目を輝かせながら手を振ります。ご家族はそんな様子を見て涙を浮かべながら、「父は私たちのことをまだ覚えていてくれるんですね」と語りかけます。 その光景を見て、私は胸が熱くなりました。認知症という病状によって、多くの記憶を失い、言葉もままならない状態でも、ご家族への愛情は決して薄れていない。…