■諫早菖蒲日記 ■夕暮れの緑の光 作家にも、地味タイプと派手タイプがあるとすれば、この人はジミ派の代表。作品がトップセラーになったとか、映画化されたといった世俗的話題には上らないまま、1980年、42才で急逝。しかし、そのジミな作品を愛するファンが多く、今回読んだ2冊も、没後30年を機に、再編集、発行されました。1974年(昭和49年)「草のつるぎ」で第70回芥川賞を受賞。 ■諫早菖蒲日記 著者が長崎県諫早で借りて住んでいた家が、実は幕末の諫早藩の中級武士(砲術指南役)の家であった。その土蔵から見つかった砲術書などの資料に興味をもってイメージを膨らませ、武士の娘の目線で当時の世情を描いている。…