短歌原文 ふるさとに 今夜(こよひ)ばかりの いのちとも 知らでや人の われをまつらむ 菊池武時 現代語訳 ふるさとでは、私の命が今宵までとは知らないで、私の帰りを待っているであろう。 短歌を味わう この短歌は、菊池武時(きくちたけとき)という肥後(今の熊本県)の豪族が詠んだものです。時は鎌倉時代。幕府と対立していた後醍醐天皇が日本全体に「自分の為に蜂起せよ!」と宣言を出しました(元弘の乱)。その際、九州で呼応したのが菊池武時でした。菊池は九州探題(九州にあった鎌倉幕府の出先機関)を攻めるがうまくいかず、自分の子供をふるさとに帰し(袖ヶ浦の別れ)、単身九州探題に斬りこみ命を落としました。享年4…