1人の小娘が枯れ枝を拾いに山に行くと、 誰かに呼ばれたように思い、 辺りを見回します。 そこには雑草の中から只1本、 小さい菜の花が咲いてしました。 「お前、こんな所で、よく淋しくないのね」 小娘が言うと 「淋しいわ」 菜の花は親しげに答えます。 菜の花は、雲雀の胸毛に着いて来た種が此処で零れたと言い、仲間の多い麓の村へ連れて行って欲しいと頼みます。 可哀想に思った小娘は、菜の花を根から静かに抜くと、手に持って、山路を村の方へと下っていきました。 暫くすると、路に添って小さな流れが、水音をたてて流れていました。 「あなたの手を随分ほてるのね」 菜の花は言います。 菜の花の首はうなだれて小娘の歩…