女性小説家、ホラー作家、推理作家。日本推理作家協会会員。 1961年5月22日大阪府生まれ。 1998年、『陀吉尼の紡ぐ糸』でデビュー。野崎六助が「京極系ミステリ」と名付け、話題に上った。 その後も、ミステリー、伝奇、ホラー、SF等ジャンルを超えて精力的に作品を発表し続けている。 代表作に『探偵・朱雀十五の事件簿』シリーズ、『陰陽師 鬼一法眼』シリーズ、『バチカン奇跡調査官』シリーズ、『こちら妖怪新聞社!』シリーズなど。
探偵の休暇 まずは、私個人の話なんですが、、1年半くらい前に、働きすぎて体調を崩し、半休職した時期がありました。ケース1性格の問題なのかもしれませんが、なかなか、仕事を断ることができないタイプのようなんです。特に助けを求められると、助けなければ!という使命感がわいてしまって、自分の仕事を後回しにして、他人のサポートをしてしまう癖があるんですよね。さらに、自分がやらねば、自分が、自分が、と思い過ぎていて、周りが求めていないところまでやってしまう。休みたいのに、休むことへの罪悪感がすごいんです。結局は休む方が気が休まらなくなります。ケース2自分の好きな仕事、得意な仕事は、のめり込みすぎて、長時間残…
平賀兄弟の魅力 本作の主人公:平賀・ヨセフ・庚は、どっからどう見ても不思議ちゃんキャラだと思います。もちろん本人は全く気付いていませんし、たぶん、至極まっとうな人間だと思っていることでしょう。それは大きな勘違いです。よって普通の感覚の人たちに不快な思いをさせたり、怒らせることもしばしばなんです。ロベルトが間を取り持っているから、なんとか調査も毎回乗り切れているのだと思うんです。そんな平賀ですが何故か、天才とか変人とか、とにかく普通じゃない人に愛されてしまう性分のようです。凡人には理解できない魅力が平賀にはあるのです。例えばジュリアです。またはローレンです。世界的に有名な大物犯罪者の2人に、溺愛…
マギー・ウオーカー博士の影響 本作は女性らしき女性が登場しない作品です。もちろん奇跡調査の過程で、一時的に出会う女性はいます。ですが、主要メンバーの中に、女性がこれまではいなかったんです。バチカンの神父が主人公ですし、男性社会とも言えますから、当然と言えば当然なのかもしれません。それに、平賀がちょっと女性っぽく感じられなくもないですし、平賀がいるからいいのかな?とか思っていました。ここで語るのは、本作についての私個人の勝手な解釈になりますが、、このまま女性が登場しないなら、どこかBLの要素を感じつつ、読んでいった方がいいのだろうか?と考えていました。男女の恋愛が描かれる雰囲気が、作品からは感じ…
ロベルトの真実 以前、別の話を紹介したときに、ロベルトについては、神父でありながらも、俗世の人の機微にも明るく、神父には見えない瞬間もあります。と表現したことがあります。空気を読めない平賀に対して、ロベルトは、奇跡調査中に出会った人たちに、気を配り、行動や言動を抑え、時には青年実業家のような紳士的な振る舞いをしたり、時には神父として信者に寄り添ったり。相手に対して、慈愛を持って接しています。そんなロベルトですが、初めからこうだったわけではないんです。ロベルトの人生は、とにかく困難の連続でした。すべてを乗り越えて、自分が自分らしくあるべき姿を見つけるまでには、長い時間が必要でした。そして自分のい…
作品から感じるイメージ 『バチカン奇跡調査官』の第1巻を初めて読んだとき、ザワザワとした不思議な感覚を味わったのを覚えています。本作はホラー小説というジャンルに位置していますので、ホラー的な寒気ではないのか?と思われるかもしれません。ですが、それとはちょっと違います。うまく言葉で表現することができない感覚です。それでもあえて言葉に置き換えるのであれば、、風の音もしない、虫の声も聞こえない、何の匂いもしない。空はどんよりしている気がするし、気分も浮上できない。霧の中にいて、うすら寒い。自然界も人間界も、とにかくすべての現象が消滅してしまったような、忍び寄る静けさ。厳かな美しさから目をそらせない。…
定かではない推測 文芸作家の皆さんは、日本の文豪たちの古典作品を読み、世界的に有名な古典作品を読み、純文学と呼ばれる小説を描かれているのだと思います。昔は、ライト系小説やライトノベルズや漫画などを読まない文芸作家さんも多かったかもしれません。ですが、近年はその様子が少し変化しているように思います。ガチの文芸作家の先生でも、ライト系小説を自ら書いたり、有名なライトノベルズや漫画やアニメ等の内容をもじって挿入してきたり。これまで硬い砦を築いていた文芸小説界に、風穴をあけて、風通しのよい世界観を作り出しています。純文学は難しくて読めないという日本人が多い中で、普段小説を読まない人でも知っているような…
作品紹介 本作は、二人の若く美しい神父が、バチカン奇跡調査官として、世界のあらゆる奇跡を調査しに出かけていくというお話です。主人公:平賀・ヨゼフ・庚『黒の学院』の表紙を飾っているのが平賀です。白く美しい肌、黒くつややかな髪、ふくよかな赤い唇、小柄で線が細く、女性的な魅力を備える男性、それが平賀のイメージです。天然で、マイペースで、猪突猛進ぎみで。か弱い女性のように見えるのに、芯が強くて頑固、いざという時には、誰よりも頼りになる存在、それが平賀です。平賀の穢れなき純粋さが、いつかすべての陰謀を打ち砕き、世界を禍から救い出せるのではないか?とも思います。相棒:ロベルト・ニコラス『サタンの裁』の表紙…