ねむれないので手近にあった歌集から歌を引用します。藪内亮輔『海蛇と珊瑚』(角川書店, 2018)から、好きな歌を。 「花と雨」 鉄塔の向かうから来る雷雨かな民俗学の授業へ向かふ 春のあめ底にとどかず田に降るを田螺はちさく闇を巻きをり 階段にZigzagに差すひかりありあいまいな態度のまま逢ひにゆく 雨はふる、降りながら降る 生きながら生きるやりかたを教へてください 「Between, Between, Between」 十本の脚に五本の腕は生え蟹走りして来るんだ闇は 眼球の比喩の葡萄を剥きながらむきながら葡萄の比喩の眼球 「生滅」 光らせる 光らせられる ゆきはふるい記憶のなかの睫毛にとまり …