左大臣巨勢徳太が生きている間はおとなしくしていた有間皇子。巨勢徳太薨去後、斉明天皇粛清を企図する。 国庫を浪費する斉明 日本書紀の斉明紀の前半は、数々の土木工事の記載で溢れている。それに対し人々が怨嗟の声を挙げたという。 大化改新によって大量の富と人力が中央政府に集中していたが、それを使って斉明天皇が土木工事を好んでした。 「斉明が土木工事を好んで国庫を浪費し人々が怨嗟の声を挙げた」ことは定説となっているが、以下留意点を挙げておく。 土木工事自体は国防強化の文脈で読める。唐が北東アジアへの攻勢を強める中、予算を国防に注ぎ込むのは当然ではある。山頂に城砦を造営するのは国防そのもの。怨嗟の声はあっ…