年末になって、新年の室内装飾、春の衣裳を配る時にも、 源氏は玉鬘を尊貴な夫人らと同じに取り扱った。 どんなに思いのほかによい趣味を知った人と見えても、 またどんなまちがった物の取り合わせをするかもしれぬという 不安な気持ちもあって、 玉鬘のほうへはすでに衣裳にでき上がった物を贈ることにしたが、 その時にほうぼうの織物師が力いっぱいに念を入れて作り出した 厚織物の細長や小袿《こうちぎ》の仕立てたのを 源氏は手もとへ取り寄せて見た。 「非常にたくさんありますね。 奥さんたちなどにもそれぞれよい物をえって贈ることにしよう」 と源氏が夫人に言ったので、 女王は裁縫係の所にでき上がっている物も、 手もと…