一 人間の自然とは―自然と対立しない東洋的自然観に根ざす野口整体の生命観 1 活元運動(動く瞑想法)を通じて裡の自然を掴まえる 「自分の健康は自分で保つ」という理念は、野口整体の全生思想(全力を発揮する生き方)の基本です。一方、西洋医学は、「健康は医療が管理する」というあり方です。 野口整体と西洋医学の間には、生命をどのように捉えているかという、生命観の上での大きな相違があり、これが健康観、そして病症の捉え方・向き合い方に反映しているのです(第一部第一章 一 1参照)。 このような生命観の相違は、近代科学の「自他対立・支配」と、東洋宗教の「自他融合・自然(じねん)(註)」という自然観の違いから…