若いときに読んだ本は記憶に残りやすいものです。そのなかには、自分の生き方に影響を与えた本もあります。大学のときに読んだ、有吉佐和子の「複合汚染」はその一冊です。農薬を大量に使用する日本の農作物に警鐘をうならす文芸書で、わたしのアタマのなかで「安全」に対する意識を高めてくれた傑作です。久しぶりにKindle(電子書籍)で再読しました。この本が出たときの日本(1975年)は公害問題が深刻で、本書でも水俣病が取り上げられています。わたしは相模原の団地に住んでましたが、しょっちゅう光化学スモッグ警報が発令されてました。ですので、一概にいまの環境状況と比較はできませんが、作品に書かれている本質はあまり変…