3月1日 クレア・キーガン Claire Keegan 著『青い野を歩く』Walk the Blue Fields 読了。 映画『コット、はじまりの夏』の世界そのままの、沈黙と静謐、緑と水に満たされた世界。映画の原作者として知って手に取った短篇集は、凝縮された詩的な言葉で、孤独な魂の愛の可能と不可能を紡ぎ出す。とりわけ最後に置かれた「クイックン・ツリーの夜」は、呪術的な樹木と迷信的な言い伝えと奇跡的な霊力が物語に魔術をかけて、読むものをアイルランドの海辺の厳しい孤立にいざなう。許されぬ恋と望まぬ妊娠と子どもの早世、その中で人と接することを避けてきたヒロインとその隣人との奇妙な出会いと別れが忘れ…