幼稚園のお迎え帰り。 子どもたちはまだ遊び足りないようで、 公園の滑り台や砂場へ散っていった。 二人の母親がベンチに腰掛ける。 私は、その下で丸くなる。 藤の花びらが一枚、ふわりと目の前をかすめた。 桜より淡く、香りは少し甘い。 ブランドロゴの大きなバッグをわざとらしく前に持ち直しながら、 彼女は他のママに気づかれたくて仕方がない様子だった。 私の知る限り、 こういうニンゲンは"マウントママ"という部類に入る。 控えめママの子どもが、砂場でしゃがみ込んだ瞬間。 その姿をちらりと見て、マウントママが口を開く。 「ちっちゃいですよね。背の順だと一番前ですか?」 野良猫の私は、 いきなり何を言い出し…