トランスバッシングと闘い、言霊の祝福を取り戻す 『言霊の幸う国で』(李琴峰著/筑摩書房) www.chikumashobo.co.jp この1冊から明確な強い怒りを感じた。『言霊の幸う国で』は、李琴峰書き下ろしの小説だ。原稿にして実に1000枚、ページ数も約500頁にも渡る大作だ。 筆者は女性で台湾出身でトランスジェンダーのレズビアンであり作家だ。筆者(L)が直木賞を受賞する一連の場面を起点とし、複合的マイノリティとしてコロナ渦であらゆる差別と闘い続けた闘争と葛藤、怒りと祈りの1冊である。■描かれるネトウヨ化する世の中 直木賞の授賞式で、忘れたい日本語は何かと聞かれたLは安倍晋三の「美しい国」…