『阿吽の狛犬』 通勤途中にある神社で毎朝一礼する願掛けはしない 前の職場でときおり朝一緒になる先輩がいた神社の前を通ると必ず足を止めきりり姿勢よく一礼していた ラジオからこんな話も流れてきたコロナ禍に毎朝神社へ通うようになった足を運ぶたびに願いは消えていき一礼の所作だけが残った 粋であるマネすべし 春夏秋冬ひとめぐりはじめてから二回目の春を迎えた はじめたころに何を願っていたのかもうとっくに忘れ近頃では狛犬と挨拶を交わすようになった 阿吽の狛犬向かって右がアと口を開け左がウンと口を閉じる ああと嘆きうんとうなずくそんな日もあれば うんと納得したつもりがああと落胆するそんな日もある どんな日でも…