ジョルグの家が、このような復讐の連鎖に巻き込まれたのは、70年前のある夜の出来事からだった。ある男が、訪ねてきて、一泊させた。その男が村を出るか出ないかのところで射殺された。その復讐をジョルグの家が行うかどうかの審理が行われ、行うべきという結果が出た。それが掟だった。 それ以来、ジョルグの家とクリュエチュチェ家との抗争は、70年間続いている。そのような事柄に巻き込まれていない家も多数ある。そんな家で生まれたら、とジョルグは考えないこともなかったが、詮無きことであった。血の税を納める塔へと急いでいた。 ジョルグは途中の旅籠で、著名な解釈者のアリ・ビナクに出会った。解釈者は、掟が迷ったときにそれを…