誰にでも寛容な場所 由布市湯布院町の温泉旅館「蔓蕩蒼(まとうそう)」をチェックアウトし、人気カフェなどが並ぶ「湯の坪街道」に車で向かう途中だった。 助手席の娘がつぶやいた。 「やっぱり、あそこがいいや」 「あそこって?」 「小学生のころ、パパがいつも連れて行ってくれた山の中にあるカフェ」 友人の古岡夫妻が耶馬溪の山奥で経営する「豆岳珈琲」のことだった。 そこは、由布院温泉から車で約90分ほど離れた場所にある。 「こっちの有名なカフェじゃなくていいの?」 「うん、あそこがいい」 僕たちは、予定を変更して耶馬溪に向かった。 耶馬溪の紅葉はまもなくピークを迎える 見落としてしまいそうな小さな看板 古…