禅宗、特に臨済宗においては五山十刹の制がある。権力者による禅宗寺院の寺格である。室町幕府が南宋の制度を導入し特に関係の深い寺院を選んで支援、保護した。天下五山、京都五山、鎌倉五山がある。十刹となると雨後の竹の子の如くである。日本では時代によって対象寺院も順位も変化してきたが、元はインドの五精舎、十塔所を元とする。 寺院(宗教)保護は鎮護国家が目的であるが、一方、寺院は当時の最高学府であり先進文化発信基地であり僧侶は行政官や政治顧問になりえた。これらの寺院には、当然、優秀、有能な僧侶が集まる。ただ、先進の教学、芸術文化は中国にある。遣唐使以来、国家や寺社は挙って優秀な僧侶を留学僧として中国に送り…