豊後佐伯氏は主家・大友氏の改易に伴い故地・佐伯での事実上四百年の幕を閉じた(1593年)。最後の当主「佐伯惟定」は佐伯を離れ浪々の身となる。随身を除けば家臣もそれぞれ自ら生きる道を探さざるを得ない。多くは帰農した。武家の宿命とはいえその落魄を想像するに胸が痛む。祖父「佐伯惟教」、父「佐伯惟真」の悲運を背負った遺児・三兄弟(惟照、惟定、惟寛)のその後を追った。 三兄弟の故地、居城・栂牟礼城址遠望(佐伯城址より) 三兄弟の試練は祖父・惟教が主家・大友義鎮(宗麟)に反目し伊予・西園寺氏を頼り十有余年を伊予に雌伏したことに始まる(1556~1569年)。雌伏先の西予の情勢も北の河野氏、南の一条氏に挟ま…