朝から嵐。 『三月のライオン』という映画があった。 いや、ある。 「三月はライオンのようにやって来て、子羊のように去っていく」 そんな諺からとったタイトルだという。 花の季節のまえには、かならず嵐があると。 哀しくもあやうい、かつ繊細で激しい、近親相姦を描いた傑作である。 作品の力にはむろんのこと、 まざまざとしたインディペンデント臭に溶け込んだ、強烈な作り手の情熱に、当時はノックアウトをくらってずいぶんと引きずったものだった。 念のために言っておくが、いまの同名の漫画のそれではない。 矢崎仁司が監督し、亡き趙方豪が主演した。 あまりの衝撃に、二度みることができなかった。 のちにDVDで購入し…