三十年以上も昔、皆がまだお気楽な社員だった時代。四人のマウンテンバイク野郎どもは秩父の河原で自転車に興じ、焚き火をしてテントで寝た。小綺麗なたくさんの用品に囲まれて非日常を野山に求めるキャンブブームが後に来るとも想像できない頃だった。 当時の野郎どもはその後それぞれの道を歩み、長きブランクを経て再会したときは皆還暦か、それを超える年齢だった。 三つ子の魂百まで。再会したら凝りもせずに皆また昔どおりの自転車野郎だった。 話は早かった。三人の都合があい新春厄除けランをしようとすぐ決まった。関東の厄除けと言えば佐野に決まっている。佐野といえばラーメンと決まっている。幸い三人ともラーメン大好きだった。…