訓読 >>> 海神(わたつみ)の沖に持ち行きて放(はな)つともうれむぞこれがよみがへりなむ 要旨 >>> 海神のいます沖に持って行って放してやったとしても、どうして、これが生き返ることがありましょうや。 鑑賞 >>> ある娘子たちが、通観法師(伝未詳、ただし僧)に干し鮑(あわび)を包んで贈り、ふざけて祝願(しゅくがん)を求めた時に、通観が作った歌です。「祝願」は仏教用語で、僧が呪文を唱えて祈願する意。ここでは、干し鮑が生き返るよう呪文を唱えて祈願すること。 「海神」は、海の神。単に海のこととする見方もありますが、この歌では蘇生復活の可否がテーマになっているので、それを司る海神を意識した訳の方が…