最後に遺言書に書けることとして付言事項(ふげんじこう)というものがあります。これは法的には効力がありませんが、遺言書が相続人達の混乱を招きそうな内容であった場合、不満が出てきそうな場合など、その理由や想いを遺言者から説明するためのものです。 ポイントは、生前抱えていた不満や悪口などは記載せず、感謝と思いやりのある文章に注力することです。ここで反感を買ってしまうと遺言無効の訴訟に発展したり、後年相続人間の争いの火種を生む可能性が出てきます。
⑩祭祀主宰者の指定 仏壇や墓といったものを守っていってもらう人を指定することができます。また葬儀・法事なども同様です。意外と労力や金銭的なコストがかさみますので、その負担を軽減できるように別途 財産配分などで配慮が必要です。 ⑪特別受益の持ち戻しの免除 特定の相続人に対する特別受益(生前に多額の学費を支払ったとか資金援助を行ったなど)を無かったこととして、遺産分割していいよというメッセージを残すことができます。
⑨相続人相互の担保責任の指定 相続財産の一部の評価額が下落し、それをもらった相続人が損をした場合に、損失分を他の相続人の分から補填したりするという指定です。あまり聞いたことはないですが、まぁこんなこともできるという程度で覚えておきましょう。 例えば相続でもらった車のエンジンが壊れていたなんて場合です。
⑧遺産分割の禁止 5年までという制限はありますが、遺産分割自体をとめることができます。財産としてはいったん共有となり、相続税の申告が必要な場合は仮に法定相続分割合で納めます。 相続人が未成年であった場合などに利用されることがあります。
⑦遺産分割方法の指定 遺言者が望むような分割方法を指定する方法を指定できます。全てお金に換えて分けてほしいとか、この家と土地は妻に、株は長男にといった感じです。先祖伝来の土地といった場合、売って欲しくない長男についでほしいという希望も出てきたりします。
⑥相続分の指定 特定の相続人について法定相続分と異なった取得割合を指定すること。 長男に8割、次男と三男には1割ずつ相続させる。といった指定の仕方の遺言書です。ここで加味しないといけないことは遺留分の存在です。どれだけ偏った指定をしても法定相続分の半分は遺留分として保証されますので、請求があれば支払う必要があります。 皆さんが遺言書と言えばイメージするのがこの⑥だと思います。
⑤相続人の廃除 特定の相続人について相続権を失効させる廃除の手続き請求を取らせることができる。相続人を廃除するというのは、遺言者に対する虐待など明白な要件が求められますが、それを死後遺言書の発効後となるとさらに難易度は上がってしまいます。もし遺言書で行いたいという場合は、証拠となるものをしっかりと残し、それを実行してくれる遺言執行者に共有しておくことが必要です。
④未成年後見人、未成年後見監督人の指定 相続人の中に未成年の子供がいる場合、後見人を指定できます。また後見人にたいする後見監督人を指定することができます。残されていく相続人が、まだまだ幼い場合など信頼できる身内などを指定してお願いしておくと安心です。 ただ金銭面なども絡んできますので、場合によれば監督人というのも必要かもしれません。
③遺贈 これは法定相続人以外の者を財産の受け取り人にすることをいいます。法人や団体などへの寄付なんかもこれにあたります。遺言書に書く文言も、相続人には相続させる、他には遺贈するというのが基本です。一部相続放棄の観点から、意図的に相続人に遺贈するなんて言葉を使うこともあります。 死後ペットの飼育を依頼する場合などは、負担付き遺贈という形式をとる場合も有ります。
②遺言執行者の指定 遺言書の記載事項を確実に実行してくれる人を指定します。遺言書を作成をお手伝いする場合基本遺言執行者は設定します。これは遺言執行の手続きをする際に、スムーズに進めていくためには必要です。ご家族の中で中心となる人物や利害関係のない第三者や専門家を指定することもできます。 ご家族と専門家で共同する場合も有ります。相続人間の意思疎通などは身内の執行者に行ってもらい、金融機関の手続き、相続登記といった煩雑な事務は、専門家に任せるといった感じです。