淀川美代子さんの訃報に一抹の寂しさを感じていたところに、GQ JAPANの編集長である鈴木正文さんの退任を知った。いつも足を運ぶヘアサロンでは、いつの間にか雑誌はiPadで提供されるようになってしまったけれど、GQとCasa BRUTUSだけは紙の雑誌が鏡の前に置かれ、毎月必ずGQを手に取り、巻頭にある鈴木編集長のコラムから目を通すのが密かな楽しみだった。最初に雑誌に夢中になったのは宝島だ。1992年、一般紙で初めてヘアヌードを掲載し、エロ化する前の宝島には、音楽や文学など、まさしく黄金期の80年代のポップカルチャーが溢れていて、高校時代、パンクロックに傾倒し、モッズカルチャーに憧れ、東京に住…