今週のお題「現時点で今年買ってよかったもの」 みい子の家 買わずに借りて読んだ本だが、三島由紀夫「鏡子の家」は大変面白かった。 年月をかけて書いた長編小説なのに、出版当時の評判は芳しく、著者としては意外だったらしいが。 戦後、民族としての軸を失い、鼻歌を歌いながら坂を転がり堕ちていくような日本人の群像が、芸術的なニヒリズムで描かれている。 いちいち自分にズバリと指摘されているようで痛みいる。 名医に正確な診断を下されてホッと納得したような、「病人の安心感」に似たものを感じる。 「あなたは虜の生き方を選んだんだわ。檻の中へ自分から入ることで、自分が猛獣だといふことを証明しようなんて、あなた以外に…