尾崎一雄(荻原魚雷編)『新編 閑な老人』(中公文庫、2022)を読んでいる。 いままで尾崎一雄を読んだことはなかったが(でも本は何冊か持っている、はず)、荻原魚雷さんが好きなので読んでみた。 すると「退職の願い」(1964)という短編にこんな文章を見つけた。 つくづく思うことは、自分が、一個の人間としても、社会人としても、いかに素人か、ということだ。六十四歳になってそんなことに気がついた。(p.42-43) そう、そうなんだと、首が折れそうになるほど何度も頷いてしまった。私は53歳だけど、本当にそういう感じがする。 尾崎は続けてこう書く。 もっとも、ここで云う素人に対する玄人というのが、どうい…