小説についての最大級の賛辞は、「一気読みした」のひと言だと、わたしは思っています。 一方で、足取り軽快に読めなくても、重い存在感を伝えてくる(例えば芥川賞系の純文学)作品はたくさんあります。「源氏物語」のような古典にしても、現代語訳であっても難渋します。そうした文学作品の面白さは、面白さの外まで広がって、得体の知れない<ぞわぞわ感>を心に残します。それは確かにすごい。でも... 潔く「面白さ」に徹した作品。それが自分にマッチしていると、わたしは心置きなく文章に身を委ねて一気読みします。いや、一気読みさせられてしまう。作家の力量に降参するしかありません。 文学とは何かなどと考え始めると、凡庸な頭…