めっきり冷え込んできたが夕方、大井川の流れる集落に下りる。秀円寺で、寺の裏山の六地蔵と不動明王の石像を観て、享保年間の庚申塔に頭を下げる。寺は曹洞宗だからきれいに掃除されて小さな丸い頭の歴住塔もある。ふと国東の泉福寺を思い出す。 和歌神社の小さな社にも一つずつ頭を下げて、最後に振り返って山頂のヒラトモ様を遥拝するのがかつてのこの村の流儀だ。境内入り口の天保年間の立派な常夜灯が目をひく。手狭い境内には立派すぎるのだ。 「大井始まった山伏」のイチョウの下を通って、納骨堂への石段脇にある山伏のお墓にお参りする。目の前の空き地も家で埋まってしまった。山伏の修験の聖地孔大寺(こだいし)山を見やると、その…