にっかつロマンポルノで名を馳せた神代辰巳がメジャー系(松竹)で撮った一般映画。ひとりの男が同時にふたりの人妻を愛するという題材に惹かれて鑑賞したものの、登場人物の背景がボンヤリしているため具体性に欠け、期待外れの凡庸な仕上がりで終わった 映像でストーリーを表現するうえで、一から十まで細かに状況を語るのは不可能であるし、その必要もない。ポイントとなるのは如何にして描かない(描かれない)部分のイマジネーションを観客に喚起させるか、だと私は考える。しかし、本作のキャラクターたちからはどう想像力を働かせてもそのバックグラウンドが感じ取れず、小説で言うところの「行間を読む」ことが出来ない。尺が大体80分…