こんなことを毎日言っているうちに十二月にもなった。 雪や霙《みぞれ》の降る日が多くて、心細い気のする明石は、 いろいろな形でせねばならない苦労の多い自分であると悲しんで、 平生よりもしみじみ姫君を愛撫《あいぶ》していた。 大雪になった朝、過去未来が思い続けられて、 平生は縁に近く出るようなこともあまりないのであるが、 端のほうに来て明石は汀《みぎわ》の氷などにながめ入っていた。 柔らかな白を幾枚か重ねたからだつき、 頭つき、後ろ姿は最高の貴女《きじょ》というものも こうした気高《けだか》さのあるものであろうと見えた。 こぼれてくる涙を払いながら、 「こんな日にはまた特別にあなたが恋しいでしょう…