『チャンピオンたちの朝食』カート・ヴォネガット・ジュニア著 浅倉久志訳 を読む。 覚えている。アメリカで発売されるや否や若者たちから熱狂的な支持を受けたことを。で、この作品は縁が無くてようやく初読となる。 「訳者あとがき」によると、インタビューで作者はこう述べている。 「『スローターハウス5』と『チャンピオンたちの朝食』は、もとは一つの本だったが、―略―水と油のようにどうしても混じり合わない。そこで上澄みをすくったのが『スローターハウス5』で、あとに残ったのが『チャンピオンたちの朝食』だ」 『スローターハウス5』がいわゆる白ヴォネガットなら、この本は黒ヴォネガットだ。 売れないSF作家キルゴア…